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本を書く医師 Top日本の発信力 ~必要なのは書いて伝える力~
                

日本の発信力 ~必要なのは書いて伝える力~


こんにちは。キーウィです。


 日本語で出版された書籍の英訳の打診がありました。でも、ちょうど実務翻訳の方が忙しくてスケジュールが合わず、お引き受けできませんでした。残念!

 英米の人気作家の作品が邦訳されて日本でもベストセラーになるのと比べると、日本語の書籍の英訳は細々としか行われていません。具体的に言うと、日本で年間7万5000点出版される新刊書のうち、英語の書籍の邦訳版は約 5000~6000点で全体の約7.3%を占めますが、米国で出版される書籍のなかで、英語以外の言語からの翻訳書は全部合わせてもわずか2%しかありません。
                 
 日本語の本が英語にならない理由の第一は、米国の出版社にとっての言葉の壁です。編集者が日本の書籍に興味を持っても、ざっと読むだけならともかく、詳細に内容を検討してその出版がビジネスとして成り立つかどうか判断できるだけの日本語力のある人がいないのです。

 日本側にも問題があります。日本は人口が多く、本好きが占める割合も高いので、海外の市場に目を向けなくても出版ビジネスが成立します。現在は出版不況ではありますが、基本的にはそんな時代が続いていました。

 そのため、日本の出版社にはしっかりした英語版のウェブサイトを持っていないところすらあります。これでは情報が伝わりません。そうなると、「米国には優れた書籍が十分あるのだから、わざわざリスクのある日本語の書籍を翻訳しなくてもよい」 となってしまいます。

 この他に、書籍流通システムが日本と米国でまったく異なることから、米国での本の売り方がわからない、という事情もあるようです。

 欧州各国には自国文学の普及を推進する政府機関があり、最近はアジアでも力をつけてきた国々は競って同様の取り組みをしています。しかし日本の状況はお寒い限りです。
        
 文化庁は 「現代日本文学の翻訳・普及事業」 を通じて、これまでに明治以降の作品119点を英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語などで出版してきましたが、例の事業仕訳で廃止に追い込まれました。また海外の出版社が日本の書籍を翻訳する際に資金援助するための予算も大幅に削減されました。

 その後、政権が変わり、遅まきながらクールジャパン戦略が始まっています。漫画やアニメは相当英訳されていますが、一般書についても、これまでの遅れを取り戻す仕組みを一刻も早く整えてほしいものです。