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![]() どうしてペーパーバックが読めないの こんにちは。キーウィです。 英語を話していて、とっさに単語が出てこなかった経験はありませんか。頭では分かっていて、「次は何とかしてやろう」 という向上心があれば、回を重ねるうちに口からスムースに出てくるようになります。 問題は単語自体を知らない場合です。海外の料理学校に入学したいなら、ネイティブの新入生が知っている単語や表現が同じように身についていなければ講義についていけませんし、英字新聞を読もうとしても、その新聞の読者が最低限持っている言語学的知識が備わっていなければ歯が立ちません。 ![]() 一般的な日本人の英語の語彙力は3000語から5000語で、大学入試の英語の二次試験では8000語から12000語が必要と言われています。そして語彙が5000語もあれば一般向けのペーパーバックに登場する単語全体の約90%を知っている計算になるそうです。 ......え? そうなの? じゃあどうしてペーパーバックをすらすら読めないんだろう? それは、この90%という数字は、単語の数全体に占める割合だからです。たいていの文章には the、of、and、to、that などの機能語、すなわち、それ自体は意味を持たない単語が多数含まれています。そしてその一方で、内容の鍵を握る名詞や動詞などの内容語は比較的難易度の高い単語が多く、こちらが残り10%に集中的に入っています。 その結果、肝心の内容語がわからないので文章をなかなか理解できません。同じことは会話にも言えます。くつろいだ日常会話ならともかく、仕事となると、内容語である名詞や動詞を正確に知っていることが決定的に重要です。 とっさに複雑な文を作れなくても、自分の意図にぴったりはまる単語を知っていれば、必ず相手に伝わり、話題の核心にずばりと切り込むことができます。この逆に、内容語を知らなければ、どんなにペラペラ話せても曖昧な物言いに終始するしかありません。 ![]() 新聞の読解に話を戻すと、平均的な日本人の日本語の語彙は2万語前後とされています。ですから、英字新聞やペーパーバック、さらにはTIMEやNewsweekなどの雑誌を読む際にも、おそらくは同程度の語彙力が求められると考えるのが自然でしょう。 ときどき、日本人はあんなに英語を勉強してもまともに意見も言えないし、問い合わせのメール一本書けない、これは受験勉強の弊害だ、単語の暗記なんて時間の無駄だったんだなどと言う人がいますが、そうではありません。真実は、受験勉強ぐらいの語彙力では全然足りないということなのです。 |
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