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![]() 翻訳者の地位 ~地位は自分で作る~ こんにちは。キーウィです。 特許翻訳をしている知人が、「翻訳者の中には、バイトやパート気分で仕事して、収入を申告せずに平気でちょろまかしている人がいる。こういう人がいるから翻訳者の地位が上がらないんだと思う」 と言いました。 翻訳者は自営業、個人事業者なので、収入が20万円に達した時点で確定申告の義務が生じます。 ![]() 納税しない翻訳者の言い分は、おそらく 「翻訳で家計を支えているわけじゃないし、そもそも大した額じゃないから」 「申告が必要とは知らなかった」、もしくは 「知ってはいたが面倒くさい」、というものでしょう。 しかし、翻訳会社から仕事を斡旋してもらっている場合は、翻訳料が10%、源泉徴収として引かれています。確定申告すれば引かれ過ぎた分が戻ってきますし、仕事にかかった経費が申請でき、さらに正式な帳簿を付ければ控除も受けられますから、申告した方が得なのです。 さて、翻訳者の社会的な地位については、高名な翻訳者を含めて多くの人が論じていますが、知人が言うように、日本では翻訳という仕事は社会的に十分評価されていないのでしょうか。 日本と対照的に、翻訳者や通訳者の地位が確立されていると言われているのがヨーロッパです。その理由は、複数の言語を理解する人が多いために、的確に翻訳または通訳することの大変さが広く知られているからです。 そうだとすれば、もし日本で翻訳者の地位が低いとしたら、日本では外国語に精通している人が少ないから、というのが原因でしょう。確かに、外国語や言語学についてよく分かっていない人が 「翻訳なんて辞書で調べるだけでしょ?」 とか 「英会話ができれば通訳なんて簡単だよね」 などと勘違い発言するという話はよく耳にします。 ![]() ただ、その一方で社会的地位って何だろうという気もしますね。例えば 「会社員」 のように大きなくくり方をした場合、会社員の社会的地位は高いでしょうか、低いでしょうか。翻訳者と同じ自営業である魚屋さんや画家はどうでしょう。 結局のところ、くくり方が大雑把過ぎるので、誰にも評価しようがないというのが正直なところだと思います。 翻訳者の中には、ろくに申告もしない人や、自分は専門家ではないんだから、だいたい意味が通じればよい、と割り切って仕事している人もいるでしょう。でも、そういう人には、それなりの仕事しか来ません。 逆に、質の高い仕事をして一定の才覚があれば、やがて一流の仕事を依頼されるようになります。現代社会には質の高い翻訳の需要が間違いなく存在します。そして、そんな翻訳者を探しているクライアントや翻訳会社が消えることはないからです。 自分の地位を作るのは自分でしかないし、根本にあるのは、自分が自分をどう評価するかではないでしょうか。 |
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