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本を書く医師 Topマスクに予防効果なし? とんでもない!




マスクに予防効果なし? とんでもない!


 インフルエンザが流行し始め、風邪も蔓延するこの時期、病院の待合室は大混雑です。そこに駆け込んでくるのが、インフルエンザの予防接種を受けようという親子連れ。遅いとはいえ、受けるに越したことはないのですが、これでは逆に病気をもらいに来るようなもの。来シーズンこそ余裕を持って受けに来てくださいね。

 インフルエンザはもちろん、風邪も9割以上がウイルスが原因です。9割以上というのはおかしな言い方に聞こえるかもしれませんが、実は 「風邪」 というのは一つの病気ではありません。似たような症状を起こす微生物が 200種類以上見つかっており、その大部分がウイルスなのです。
           
 さて、ウイルスと細菌 (ばい菌)の違いは何でしょう。どちらも人間の目に見えないほど小さないきもの、つまり微生物の仲間ですが、大きさが全く違います。細菌の大きさを仮に1~5とすると、ウイルスは圧倒的に小さくて、わずか 0.02~0.3しかありません。小さすぎて通常の顕微鏡では見えないほどです。

 こういう話をすると出てくる質問がこれ。「ウイルスがそんなに小さいなら、マスクの生地の目なんて通り抜けちゃうんじゃないですか?」。テレビなどで専門家と称する人たちが 「マスクなんて意味がありません、その証拠にアメリカ人はマスクをしてないでしょ」 などと発言していることも大きいようです。

 結論から言いますと、これは完全な間違いです。

 その理由を理解していただくために、まず、インフルエンザや風邪が、なぜ冬に流行するのか考えてみましょう。これには複数の要因が複雑に関係していますが、一つ明らかなのは、インフルエンザや風邪の原因となるウイルスが、冷たくて乾燥した気候を好むということです。
      
 それは、ウイルス一つ一つを包む膜に脂質 (油)が多く含まれているからです。食事の後片付けを思い出してください。冬は油が固まるので、お湯を使わないと鍋の掃除が大変でしょう。ウイルスも同じで、冬は油が固まるために体がしっかり安定し、活発に活動するのです。

 また冬には人体の抵抗力が落ちるという側面もあります。息の通り道である鼻や喉の粘膜には、繊毛 (じゅうもう) という目に見えないくらい細かい毛がはえていて、ウイルスなどの異物が入ってくると毛が動いて体の外へ運び出します。しかし外気の湿度が下がって粘膜が乾燥すると毛の動きが悪くなります。

 さらに、鼻や喉の粘膜には、異物と戦う免疫細胞が存在しますが、免疫細胞は暖かく湿った環境でしか働くことができません。そのため粘膜が冷えて乾燥すると、ウイルスの侵入をあっさり許してしまうのです。

 ではインフルエンザや風邪にかからないようにするには、どうしたらよいでしょうか。もうおわかりですね。ウイルスが一番嫌うこと、つまり粘膜の保温と保湿に努めればよいということです。そしてそのための、最も手軽で、持ち運べて、簡単に手に入る製品がマスクなのです。
          
 それも特別なマスクでなくても構いません。ウイルスは非常に小さいので、通常市販されているマスクの目をくぐり抜けて体内に入ってくるのは事実です (全部通過するわけではないことがわかっています)。しかしウイルスを大幅にブロックするというマスクであっても、100%ブロックするわけではなく、少しでも侵入すれば増殖するので、結局、大きな違いはなくなってしまいます。

 それよりも大事なのは、鼻や喉の粘膜が十分暖かく潤っていることです。この状態であれば、ウイルスが入ってきても体を包む膜が安定しないので感染力ががくんと落ちます。そこへ繊毛や免疫細胞がしっかり働いて、ウイルスを体の外に排出してくれるのです。風邪のひき始めに、就寝中を含めて丸一日マスクをしたら治ったという例はよくあります。マスクが自然治癒力を高めてくれるのですね。

 また、うがいや手洗いも有効です。うがいをすれば、入ってきたウイルスが繁殖する前に洗い流せるだけでなく、のどに湿り気を与えることができます。そして石鹸を使って手洗いすれば、ウイルスを包む膜の油を溶かしてウイルスを弱らせることができます。こちらも普通の石鹸で十分ですよ。
             
 ちなみに、アメリカ人も、医療従事者はきちんとマスクをしています。医療ドラマなどでおなじみでしょう。一般のアメリカ人については、よくわかりませんが、日本とアメリカは気候も違えば、暮らす人の衛生習慣や体質も違います。比較しても仕方ないように思います。




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       医師兼著者、医学翻訳者によるオリジナル記事を掲載しています。
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