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本を書く医師 Top日本人の糖尿病は違います




日本人の糖尿病は違います


 糖尿病が増えています。患者さんと予備軍を合わせると約2200万人に上ると推計され、この20年間だけで3倍以上になりました。

 原因として、よく挙げられるのが食生活の欧米化です。それに加えて、日本人(アジア人)は、基礎代謝量を下げて脂肪を減りにくくする遺伝子を持っており、これも糖尿病が増える原因の1つだという意見があります。そうなのでしょうか?

 この遺伝子を、倹約遺伝子とか、飢餓遺伝子と言います。そして、日本人(アジア人)に倹約遺伝子を持つ人が多いのは、貧しいアジアでは飢饉が頻発したために、少量の摂取エネルギーでも生き延びられる倹約遺伝子が生存に有利に働いた……と説明されることが多いようです。
          
 しかし、不思議に思いませんか。倹約遺伝子が基礎代謝量を下げて、太りやすくする遺伝子というのなら、失礼ながら、例えば米国のほうが肥満気味の人が目立つのはなぜでしょう。

 それに、倹約遺伝子を持つ人が少ない欧米は、昔から豊かだったのかという疑問も湧きますね。実は、倹約遺伝子に関する一般的な説明は誤解に基づくもので、その背景にはアジアに対する欧米人の偏見があるとも言われています。

 ご存知のように、人間は、炭水化物を体内でブドウ糖に変え、これをエネルギー源として使っています。アジアは土壌が肥沃なため、実際にはヨーロッパより遥かに豊かな食生活を送ってきました。

 古代から農耕が広く行われ、伝統的に穀物(炭水化物)中心の食生活を送ることが可能でした。炭水化物がいつでも食べられるなら、ブドウ糖を組織に蓄えるためのインシュリンの量は少なくて済みます。

 そのため、日本人は、インシュリンの分泌量が欧米人の2分の1から4分の3しかありません。この少ないインシュリンで、必要なだけのブドウ糖を効率よく取り込むために発達したのが倹約遺伝子なのです。

 逆に、土壌があまり農耕に向いていなかったヨーロッパの食生活は肉や脂肪が中心で、炭水化物の摂取量が十分ではありませんでした。この状況で、体に必要なブドウ糖を吸収するには多量のインシュリンを分泌する必要があります。

 米国などで肥満気味の人が多いのは、インシュリンの分泌量が多いために、栄養を蓄積しやすいのが原因と考えられています。
       
 そしてもう1つ。日本で糖尿病が急増している背景に、食生活の欧米化があることは間違いありませんが、問題はカロリーの総摂取量ではありません。カロリーの総摂取量は数十年前からむしろ減っており、増えたのは脂肪の摂取割合です。

 脂肪、特に内臓脂肪が蓄積すると、インシュリンが機能を十分果たせなくなって糖尿病を招くことは、別のコラム「おなかの内臓脂肪を落とすと確認された二つの習慣」に書きました。そして、食生活の欧米化には、これ以外にも見逃せない要素があります。それは炭水化物の摂取割合が減ったことです。

 インシュリンの分泌量が少ない日本人が、炭水化物をあまりとらなくなると何が起きるでしょうか。始めのうちこそ、膵臓は猛烈に働いてインシュリンの分泌を増やし、なんとか必要な糖分を吸収しようとします。しかし、次第に疲れて細胞数が減少し、もともと少なかったインシュリンがさらに枯渇してしまいます。

 実際に、状態が悪化して糖尿病を発症する頃には、インシュリンをほとんど分泌できなくなっているケースが目立ちます。この現象は、インシュリンの分泌量が多い欧米人ではあまり見られません。このように、同じ糖尿病と言っても、日本人と欧米人では、発症の過程も、病気の仕組みも、大きく異なることが明らかになってきています。




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       医師兼著者、医学翻訳者によるオリジナル記事を掲載しています。
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