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のどのつかえが気になります


 首は体の中でも細い部分ですが、生命維持に欠かせない、大切な器官が多数存在しています。食道、気管、脳へ行く大きな血管、太い神経、脊椎 (背骨) が通ることに加え、頭を支える筋肉や、ホルモンを産生する甲状腺も存在しており過密地帯と言えるほどです。

 そのため、のどは元々敏感にできていますし、これらの器官のどれかが腫れたり、ポリープや固まりができたり、神経や筋肉の障害が起きたりすれば多彩な症状が起こります。

 のどに違和感がある場合に大きな病気が隠れている可能性を確実に除外するには正式な検査が欠かせません。しかし 「のどがつかえる」 または、何か引っかかっている感じ、違和感や異物感がある、呼吸がしにくいなどの症状があるのに、十分検査をしても異常が見つからない場合もあります。喉頭異物症と言われるケースですが、該当する方はかなり多く、若い世代でも最近増えているようです。
  主な原因の一つは自律神経障害で、ストレスや焦り、不安が重なった結果、身体症状として 「のどのつかえ」 を感じるというものです。これを 「ヒステリー球」 と呼ぶことがありますが、一般的に言うヒステリーとは違いますから混同しないでください。

 東洋医学では喉に梅干の種がつかえている感じがするという意味で梅核気 (ばいかくき) と呼び、ストレスにより気の流れが悪くなった状態と考えているそうです。古代にもこの症状に悩む人がいたのですね。

 自律神経障害が原因である場合の特徴は、食事の際には症状が消えて何も気にせず食べられるということです。

 これとは逆に、もう1つよくある原因が胃腸障害です。胃酸の逆流やアレルギーが関係するものが多く、わかりやすい例ですと空腹時はあまり症状がないのに食事を取って20~30分するとのどの奥がつまる感じがします。ただ、胃腸障害の程度が軽いと胃のもたれなどの胃の不快感がなく、食事との因果関係に気づかないことがあります。

 この他には肩こりも 「のどのつかえる感じ」 を引き起こします。肩こりが強くなると後頭部、背中、胸の筋肉とともに首の周りの筋肉も収縮して太くなるため、ただでさえ細い首にある他の器官に圧力がかかり、のどに閉塞感や異物感が発生するのです。

 また、喘息のある方は発作が起きるのではないかという不安と、のど自体が敏感であることから、のどに不安感を覚えがちだと言われています。

 なお、婦人科の先生によると、更年期症状で 「のどがつかえる」 というのはあまりないそうです。

 治療はそれぞれの原因に対して行います。自律神経障害と考えられる場合には、ストレス症状を緩和するための抗不安薬と自律神経調整薬を服用すると数日で症状が改善することもよくあります。また、半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう) という漢方薬もあり、薬局で販売しているものであっても、ある程度の効果は期待できます。

 ただ、この半夏厚朴湯は市販品も含め約2週間で効果が現れるとされていますから、もし服用を続けても効果が感じられない場合には服用をやめ、病院で検査を受けてください。

 検査も受けずに精神的な喉頭異物症と決めつけるのは危険です。過去に一度検査して異常が見つからなかったという場合でも、改めて検査すると病気が見つかることもあります。




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