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本を書く医師 Top体内時計が24時間周期でないのはなぜですか




体内時計が24時間周期でないのはなぜですか


 人間は通常、夜になると眠り、朝、目を覚まします。夜行性の動物も含め、たいていの動物は昼夜24時間の生活周期で規則正しく活動しています。これはもともと体内に「体内時計」が備わっているからです。

 しかし、人間や動物を一日中明暗が変化しない人工的な環境におき、時間を知る手がかりとなるものから隔離する実験をしたところ、次第に約24.8時間周期で生活するようになることがわかりました。

 この結果が示しているのは、生まれつき備わった体内時計は24.8時間なのに、これを地球の自転に合わせて無理やり昼夜24時間周期に合わせているらしいということです。照明に不自由しない現代社会において、つい夜更かししがちなのは体内時計が24時間周期でないことも原因の一つといわれています。それにしても、なぜこんな不自然なことになっているのでしょうか。
             
 一つの説は、太古の昔、地球の自転速度(一日の長さ)が24.8時間だった時代の名残ではないかというものです。また、火星の自転速度が約25時間であることから、地球上の生命は火星が起源なのかもしれないという人さえいます。壮大な話ではありますが、火星起源説はともかく、この、地球の自転速度説は間違いであることがわかっています。

 今から約46億年前、原始地球に大きな天体が激突したときに地球の自転速度と地軸の傾きが決まりました。当時の月と地球の距離は現在の20分の1程度で、地球の自転速度は8時間ほどでした。一日が猛烈に短かったのですね。衝撃が弱まるにつれ月は遠ざかり、地球の自転速度は徐々に落ち、現在のような24時間になりました。

 これは珊瑚の化石を用いた研究で確認されています。珊瑚は昼と夜のカルシウムの分泌量が違うため、化石を調べると数億年間の自転速度の変動がわかるのです。つまり自転速度が24.8時間だった時代はなかったということです。

 もう1つの説は、生物の祖先は海に住んでいたため月による潮の満ち引きのリズムを受け継いだのではないかというものです。月は地球の周りを回るのにちょうど24.8時間かかり、この周期で潮が満ち引きします。月の満ち欠けに基づいて作られた暦を太陰暦といいますが、太陰暦では一か月が28日です。

 確かに海生生物はもちろん、人間を含めた動物でも28日周期で生体に変化が起きる例は多数報告されています。月経周期が28日という女性が多いのもその一つです。
        
 ただ、これはどの説にも言えるのですが、体内時計は生命維持に深く関わるメカニズムです。睡眠と覚醒の他にも血圧、体温、ホルモンの分泌などさまざまな生理現象に作用し、いわゆる生体リズムを調整しています。仮に生活周期が24.8時間周期だった時代があったとしても、古代の原生生物が人間にまで進化する過程を通じて体内時計が全く変化しないとは考えにくいように思います。

 逆転の発想ですが、体内時計は「24時間周期でないことに意義がある」のかもしれません。何万年という単位でみると、地球上の生命は気候を含む生存環境の激変に何度となくさらされてきました。そんなとき体内時計がぴったり24時間周期に固定されていたら、環境や社会の変化に対応できずに死滅する恐れがあります。

 実は研究により、生物は体内時計より長い生活周期に適応するよりも、短い周期に適応するほうが容易であることがわかっています。つまり体内時計が24時間より少し長いくらいになっているほうが生活の変化に適応しやすいのです。この意味で体内時計が24.8時間周期であることは理にかなっているのかもしれません。




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       医師兼著者、医学翻訳者によるオリジナル記事を掲載しています。
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