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あがってしまう人がしていないこと



こんにちは。キーウィです。

 本を出してから、ときどき講演を頼まれるようになりました。また取材を受けるときに、自著についてちょっとしたプレゼンテーションを行うこともあります。無事に終えると決まって言われるのがこの言葉。

 「キーウィさんって、全然緊張しないんですね! なぜですか?」

 いや、緊張はするんです。ものすごく緊張して、不整脈でも起きるんじゃないかってくらいドキドキして、くたくたに疲れます。・・・本番の一週間くらい前には。でも確かに当日はほとんど緊張しませんね。今回は 「どうしたら、あまりあがらずにすむか」 について考えましょう。
            
 スピーチであれ、講演であれ、欧米人がジョークを交えながらそつなくこなすのに対して、日本人は緊張して口が回らず、聴衆の心をつかめないまま終わってしまう。こんな話を良く耳にします。

 「欧米人はあがらない」 という話が出てきたのは、欧米の政治家の見事なスピーチや、スティーブ・ジョブズ氏をはじめとする著名な経営者の華麗なプレゼンが知られるようになってからでしょう。しかし欧米人がスピーチの達人ばかりかというと、そんなことはありません。

 国際学会に参加するとわかりますが、声も体も気の毒なほどぶるぶる震えて何を言っているのかわからない人、話が同じ所をぐるぐる回って時間切れで司会者に止められる人など、いくらでもいます。ジョブズ氏のような人は欧米でも特殊な存在なのです。

 あがる、緊張するというのはストレスに対する体の自然な反応です。脳は危機を感じると 「戦うか逃げるか」 選択するようにできています。しかし講演やプレゼンは逃げるわけにはいきません。戦うしかない状況で緊張を促す交感神経の活動が極限まで高まります。

 この交感神経は、リラックスをもたらす副交感神経とバランスを取りながら働いています。そのため、深呼吸をする、体を動かす、音楽を聴くなどして副交感神経に働きかけると、交感神経の過剰な反応を抑えることができます。しかし、あまりにも緊張していると焼け石に水。

 なぜ、そこまで身構えてしまうのでしょうか。
      
 それが今日のタイトル。私は、「集中できていないから」 と考えています。でもこう言うと、必ずこんな反論が聞こえてきます。
「逆じゃないの? その講演のことばっかり考えちゃうから緊張するんでしょ?」

 いいえ。こういう人の頭から離れないのは講演そのものではなく、「失敗したらどうしよう」 という不安でしょう。聴衆がどう反応するかで頭がいっぱいなのです。これが雑念なのですね。ではどうしたら雑念に振り回されずに講演そのものに集中できるでしょうか。

 座禅でも組んでみる? ・・・もちろん違います。

1 練習、練習、また練習
 スピーチトレーニングを受けようが、ジョブズ氏のプレゼンを収めた DVD を観ようが、それを自分のものにするには徹底的な練習が必要です。1時間の講演なら最低でも 15時間は練習します。原稿を作る時間は含めません。

 本番のように声に出して、身振り手振りを交えて練習を繰り返します。イメージトレーニングは意味がないでしょう。始めは原稿を手に持って読み上げます。それでも詰まる。このころが一番つらいですね。間に合わないんじゃないかという不安で緊張が高まります。

 しかし声に出してみると、原稿を書いているときには気づかなかった不自然な言い回しが次々に見つかります。不安がっている場合ではないので、構成を作り替え、表現を改変し、元の原稿を書き込みで真っ赤にします。書き直したらまた練習して原稿を固めていきます。

 ここで間を取り、ここで引き付ける、など細かい点まで作り込んでいくと、次第に自分が引き込まれ、頭が冴えてきます。「練習すれば自信がついてあがらなくなるよ」 という人がいますが、練習の効能は集中力を高め、頭を研ぎ澄ますことにあるように思います。
           
 ジョブズ氏でさえ、プレゼンの数週間前から綿密に準備し、練習を重ねて本番に臨んだと言います。同氏とくらべて経験が圧倒的に足りない平凡な一般人であっても、準備に手間ひまかけることはできるはずです。

2 このひとときは一度きり
 講演の依頼元が有名な団体だったり、名の通った立派な会場に呼ばれたりすると、「こんな機会はたぶん最初で最後だろうな」 と感じるものです。じつはこれ、どんな会合も同じです。講演もプレゼンも生で行う以上、そこで話す機会はそのときだけです。

 一期一会の言葉のとおり、その瞬間を大切にしよう、その日のできごとをあとで楽しく思い出せるようにしよう、と考えてみてください。あがりそうになっている自分を含めて、その状況を第三者の目で見つめるもう一人の自分が生まれます。こうなれば、もう、あがることはありません。

3 この人も自分と同じ
 緊張するという人の話を聞くと、たいてい話す相手を過大評価し、始まる前から飲まれてしまっています。でも、相手の社会的地位がどんなに高くても、その分野では素人です。普通のおじいさん、お父さんであり、健康を気にしているのも一般人と変わりません。

 だからこちらも普段と同じことをすればよいのです。知人から健康相談を受けたときと同じように、その人たちに役立ちそうな情報を提供し、どうせなら居心地よく過ごしてもらえるように笑顔で礼儀正しく話をする。聞き手が求めているのはそれだけです。

4 終わったら let it go
       
 映画音楽でおなじみの ’let it go’。「ありのままで」 という邦題が付いていますが、本来の意味は 「放っておく」。「ま、いっか」 という感じです。講演が終わったら参加者や主催者の感想が気になるかもしれませんが、考えたって仕方ありません。放っておきましょう。

 ただし、招いてくれた人に御礼のメールを書くのをお忘れなく。また、講演原稿は宝物です。次に原稿を作るときの土台になるだけでなく、新しい著作につながるヒントがあるかもしれません。講演やスピーチを終えて気がついたことを書き加えたうえで、必ず保存しておきましょう。




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