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いい作品を書く、ひとすじに



こんにちは。キーウィです。

 『レ・ミゼラブル (ああ無情)』 で知られるビクトル・ユーゴーが、本の売れ行きを聞こうと出版社に一文字、「?」 と書いた手紙を送りました。すると出版社から届いた手紙には、「!」 の一文字だけ書かれていました。「飛ぶように売れていますよ!」 というのです。

 このエピソードは世界一短い手紙として有名ですが、ユーゴーの手紙を大量に保管している記念館にもこの手紙が見当たらないことから、後世の創作と考えられています。
              
 時代変わって現代でも、著者本人は自分の本がどれくらい売れているか、わかりません。初版の印刷部数は教えてもらえますし、重版になりそうですとか、これだけ重版しますという報告もあります。しかし、いったん書店に並んでも返品されることがあるため、印刷部数=販売部数、ではないのです。

 ベストセラーの広告に 「○○○万部突破!」 と書いてあっても、本当にそれだけ売れたとは限りません。本を書店に納品する取次会社は正確な販売部数を把握していますが、出版社以外に漏らすことはなく、出版社内部でも正確な数字を知っている人は限られるようです。

 こうなると著者にできるのは Amazon のランキングを調べるくらいです。また、自著に関する Amazon のレビューを覗く人もいるでしょう。ただし Amazon のランキングは偏りが大きく、ジャンルによっては書店での売り上げと相当違うこともあると聞いています。

 私はと言うと、あまり気にしないことにしています。レビューは見ませんし、いわゆるエゴサーチもしません。

 エゴサーチは英語で 「自我」 を意味する 「エゴ ego」 と、「調べる」 を意味する 「サーチ search」 を組み合わせた言葉です。ネット上で自分の名前や作品名、運営するブログ名などで検索して、自分の評価を確認することを指して使われます。

 エゴサーチは使い方次第でプロモーションに活用できますから、エゴサーチすること自体は良いのです。しかし他者による評価は賞賛とは限らず、なかには批判もあるでしょう。勘違いにもとづくものや、ひどい場合は攻撃ないし中傷を目的とするものもあるかもしれません。
         
 私が心配するのは、自分がそれらのコメントを必要以上に深刻に受け止めて、心を支配されてしまうことです。落ち込んで書けなくなったり、批判を恐れて万人受けしそうなことばかり書いたりするくらいなら、はじめから雑音をシャットアウトしておくのもリスク管理の一つでしょう。

 私が登録しているエージェント会社のウェブサイトに、「作家の仕事はいい作品を書くことだけ」 という言葉があります。出版社との面倒な交渉はエージェントに任せて、作家は作品を書くことに集中してくださいという意味です。

 エージェントを付けるかはともかく、この言葉は本質を突いています。本が売れて、高い評価を得るに超したことはないけれども、書く人にとって大切なのは、ひとすじに 「いい作品を書くこと」。これに尽きるということです。