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本を書く医師キーウィTop漢方薬は甘くない その1 漢方薬と西洋薬

          
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漢方薬は甘くない その1 漢方薬と西洋薬


 漢方薬を処方する医院が次第に増え、ドラッグストアの店頭でもきれいな箱に入った製品を見かけるようになりました。しかし 「体に優しい」 というイメージばかりが先行して、せっかくの薬効を十分に引き出せていない人が多いように思います。

 まず、漢方薬と西洋薬、そしてドラッグストアで漢方薬の近くに置いてある健康食品に関する以下の設問を見てください。

 設問1. 漢方薬にも副作用はあるが、西洋薬に比べるとずっと少なく、症状も軽い。
 設問2. 健康食品にも漢方薬を使っているものがある。
 設問3. 健康食品は薬ではないので副作用はない。
 設問4. 西洋薬は化学物質であり、自然の生薬を使う漢方薬とは根本的に異なる。
 設問5. 漢方薬は効き目が穏やかなので、しばらく飲まないと効果がない。
 設問6. 漢方薬や健康食品を使い始めてから一時的に体調が悪くなることがある。
     これは好転反応なので心配ない。

     いかがでしょうか。
        
答えはすべて×です。

 洋の東西を問わず、人類は身近な薬草を経験的に使って家族や親しい人の病気やケガを癒してきました。日本で言えばドクダミやヨモギがその例で、これらを民間薬と総称します。たいていは一種類の原料からなる単純な組成で、その使い方も地域ごと、家庭ごとにさまざまでした。この民間薬が漢方薬と西洋薬の祖先です。

 「漢方」 は、漢 (今の中国) を起源とすることから付いた日本独自の呼称で、オランダ(和蘭、阿蘭陀などと表記) から伝わった西洋医学を蘭方と呼んだのに対応しています。

 日本に漢方が導入されたのは奈良時代で、当初はそのままの形で行われていましたが、その後、日本人の体質や日本の気候風土に合わせて独自の発展を遂げ、現在では中国伝統の中医学 (ちゅういがく) とは異なる日本独自の治療体系になっています。近代まで医学と言えば漢方だったので、その後入ってきた西洋薬を漢方薬と区別して 「新薬」 と呼ぶことがあります。

 今日では、日本の漢方薬は西洋薬と並ぶ立派な医薬品です。蓄積された経験から有効性が確認され、その組成と使用法を明確に表記して正式な認可を受けました。医療用漢方製剤と一般用製剤からなり、錠剤もあれば、漢方に詳しい薬剤師が患者さんの訴えに応じて調合する煎じ薬もあります。このあたりの詳細は後で書きます。

 いずれにしても漢方薬を扱うことが認められているのは医師と薬剤師だけです。鍼灸師は漢方の理論に詳しい人が多いのですが、現在の法律では医薬品である漢方薬を販売することはできません。
               
 また健康食品は、「ふつうの食品よりも健康によいと称して売られている食品」 を指す名称で、効果も安全性も証明されていません (正式に証明された時点で医薬品扱いになります)。従って、健康食品に医薬品である漢方薬を勝手に配合したり、「食品だから副作用はありません」 などと記載したりすることは薬事法で禁じられています。
 
 このように医薬品に分類される漢方薬ですが、西洋薬と違って動物実験や臨床実験の実施がこれまで免除されてきたので、その薬効に関する研究が遅れていました。

 この背景には、漢方薬は本来、自然の生薬を使い、その場で配合したものを煎じて飲む薬なので、同じ処方であっても生薬の個体差や配合の加減、煎じる人、煎じ方によって成分の組成が変わるとか、効果を血液検査などで評価しにくいなどの漢方薬特有の事情があります。

 そのため世の中には漢方薬は非科学的だと決めつけ、その効果を否定する人や、その逆に、あからさまに西洋医学を批判する人もいます。しかし、これは患者にとって不幸な、不毛な対立と言わざるを得ません。続きは 「漢方薬は甘くない その2」 をご覧ください。



 特別連載 「漢方薬は甘くない」 これまでの目次
  「その1 漢方薬と西洋薬」
  「その2 漢方薬の課題」
  「その3 漢方薬の効果と限界」
  「その4 漢方薬の副作用」
  「その5 好転反応は効果の証し?」
  「その6 インスタント漢方薬の時代」
  「その7 漢方の未来に望むこと」

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