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本を書く医師 Top音楽と突発性難聴は関係あるの




音楽と突発性難聴は関係あるの


 有名アーティストやミュージシャンが突発性難聴になったと相次いで報じられています。このニュースを見て、アーティストは音楽を大音量で聞き続けるからだと思っていませんか。これはまったくの勘違いです。確かに大きな音は耳によくありませんが、突発性難聴の原因は大きな音を聞いたからではありません。
           
 突発性難聴は、その名の通り、特別な耳の病気をしたことがない人が突然聴こえが悪くなる病気で、たいていは発症した日時がはっきり分かります。この逆に「いつからか分からないけど、だんだん聞こえなくなった」という場合は突発性難聴ではないということです。

 ほとんどは片側の耳が突然聞こえなくなって、時には耳鳴りや耳が塞がった感じ、吐き気やめまいを伴います。耳とは無関係の手足がしびれるとか意識が遠のくなどの症状は見られません。

 原因として耳の奥のウイルス感染や、耳に流れ込む血管系の異常が考えられてはいますが十分解明できていません。50~60歳代に多いもののどの年齢にも起こり、発症前にストレスや疲労を抱えていた人や、高血圧、糖尿病、心臓の病気の患者さんに起こりやすいことが分かっています。

 男女差はなく、アルコールや喫煙、食生活、睡眠時間はあまり関係なく、遺伝することもないと考えられています。先に書いたように大音量であろうがなかろうが音楽を聴くこととはまったく関係ありません。

 症状の程度は片耳がまったく聞こえないものから、少し耳鳴りがして聞こえが悪いというものまでさまざまですが、実は症状が軽い場合が要注意です。それは 「大したことないから様子を見よう」 と考えているうちに手遅れになることが多いからです。

 治療のタイミングを逃しても発症した時よりさらに悪化するとか反対側の耳の聴力も落ちるということはありませんが、回復しないまま症状が固まってしまいます。ですから突然片側の耳の聞こえが悪くなったら、直ぐに耳鼻咽喉科を受診して正確な診断を受け、最善の結果が得られるよう治療を受けて下さい。
          
 治療は現在最も効果があると考えられているステロイドを中心に、ビタミンB剤、循環改善剤の投与、さらには高圧酸素療法などを組み合わせて行います。どんなに早く治療を始めても回復には約1ヵ月かかるのが普通で、聴力が回復しても耳鳴りが残る人もあります。この耳鳴りはまず治せません。

 これに対して大きな音を聞き続けることで起きる聴力低下を騒音性難聴といいます。誰でも花火や爆竹、大音量のスピーカーなどの音を聞いた直後に一時的に聴力が低下することがありますが、ほとんどの場合は一時的な現象で、まもなく回復します。

 しかし耳が受けたダメージが十分回復しないうちに再び騒音にさらされることを繰り返すと、徐々に騒音性難聴が進行します。工場や建築現場など大きな音がする場所で働く人はもちろんですが、パチンコ店や音楽のコンサート、クラブなどに頻繁に出かけるとか、ヘッドホンを使って大音量で音楽を聴く人にも発生します。

 騒音性難聴の特徴は 4000 Hzを中心とする高い音域が最初に聴こえにくくなるということです。ピピピという目覚まし時計の音などですね。日常会話で使う音域はもっと低いので、この時点では生活に支障がなく、のんびり様子を見てしまう場合がほとんどです。

 しかし騒音性難聴も突発性難聴と同様に一刻も早く発見して治療を開始しないと聴力の回復は望めません。難聴が悪化して日常会話で使う音域の聴力も低下してから耳鼻科を受診しても手遅れなのです。

 健康診断ではピーという高い音域の聴力検査をしますが、これは騒音性難聴の早期発見を目的としています。ですから健康診断で高音域の聴力低下を指摘されたらすぐ耳鼻科で相談してください。
   
 騒音性難聴は突発性難聴とは異なり、両耳が同じ程度の難聴になるのが普通です。同じような騒音にさらされても騒音性難聴になるかどうかは個人差が大きいのですが、血圧が低いとか、中耳炎になったことがある、扁桃炎や蓄膿症があるという場合は騒音性難聴になりやすいとされています。

 やむを得ず騒音のある環境に身を置く場合は耳栓を使いましょう。過労や睡眠不足の時や飲酒後は耳の神経が傷つきやすいのでコンサートやクラブに行くのは要注意です。クラブDJ兼音楽プロデューサーのNagiさんは 「音楽が好きなら耳を大切にしてください。耳栓を持参してください」 と呼びかけています。耳栓はドラッグストアなどで購入できますし、最近は音楽専用のものがイヤープロテクターとして開発されています。




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       医師兼著者、医学翻訳者によるオリジナル記事を掲載しています。
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