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本を書く医師 Topカリカリベーコンは勘違い
                

カリカリベーコンは勘違い


こんにちは。キーウィです。

  ベーコン、レタス、トマトの入ったBLTサンドイッチ、おいしいですよね。でもベーコンを焼き過ぎてカチカチで油まみれになっていることがあります。これはおそらく米国のベーコンと日本のベーコンを混同しているからです。

 ベーコン bacon はもともと背中という意味なので、現在でも英国では豚の肩ロースを使うのが一般的です。その一方、米国のベーコンは脂ののったバラ肉で作るため、脂肪がずっと多くなっています。日本も米国式でバラ肉を使いますが、米国のものと比べると脂肪はかなり少なく、風味はむしろ英国のベーコンに近いと言われています。
           
           (写真は米国のベーコン)

 よく米国の英語表現でカリカリベーコン (crispy bacon または crisp bacon) という言葉が出てきますね。あれは米国のベーコンが脂肪が多くて生に近いために相当加熱する必要があるからです。これに対して日本ではベーコンを加熱してから販売することが法律で義務づけられています。

 それなのに、カリカリベーコンという言葉だけが日本語に翻訳されたために、ベーコンはカリカリに焼くものだという誤解が広まってしまいました。そのため、赤身が多い上に既に加熱してある日本のベーコンをさらに焼いてカチカチにしてしまうお店が目立つのだろうと思います。

 さてこのベーコン、
 I have to bring home the bacon
と言えば、「ベーコンを持ち帰らなきゃいけないの」 ではなく、「家族を養わなきゃいけないの」 となります。bring home the bacon は、捕らえた動物の肉を持ち帰るというニュアンスから 「生活を支える」 「生計を立てる」 という意味の成語だからです。「成功する」 という使い方もします。

 After having made great efforts, we were finally able to bring home the bacon and developed a new medicine for the disease.
 「大変な努力を払い、ついに治療薬の開発に成功した」

 ややこしいことにベーコンが出てこない bring home to ~という言い回しもありましたね。「痛感させる」 というやつです。
 The experience brought home to me the significance of good health.
 「その経験で健康の大切さが身に染みた」
       
 ベーコンの材料は豚肉で、豚といえば直ぐ pig という単語が浮かびます。実際 pig でも十分通じますが、米国では pig は基本的に子豚で、成長した豚のことは hog と言います。基準として120ポンド (約54キログラム) を超えると hog なので、大部分の豚が hog に該当します。

 この hog は豚を始め野生のイノシシやイボイノシシを含めたイノシシ科の動物の総称として使うこともあります。これと同じくイノシシ科全体を表す単語で古典的で品のある言い方とされているのが swine です。

 以前問題になった豚インフルエンザのウイルスは、家畜の豚だけでなくイノシシ科全体に伝染しました。正確に言えばイノシシ科インフルエンザだったわけです。だから英語では swine influenza と呼んでいました。解説者の中には 「swine は豚の学術用語です」 と説明している人がいましたが間違いです。