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本を書く医師 Top集中の秘訣
                

集中の秘訣


こんにちは。キーウィです。

 通訳翻訳学校の先生から聞いた話です。ある同時通訳者が、同時通訳をしながら編み物をするのだそうです。先生は、私には無理ですねえ、でも何で編み物をされるのかわからないんですよ、と言っていました。でも私はその理由が分かるような気がします。
            
 以前、どうしても早く仕上げたい翻訳の仕事があって連日明け方まで翻訳し、1週間の睡眠時間が合計3時間という時期がありました。気持ちが張っているので宵の口は順調に進みます。しかし夜が更けてくると疲れのせいで精神状態がおかしくなってきました。

 頭と目と手は強烈な意志で作業を続けているので、ストレスが出口を求めて心に向かうのかもしれません。幻覚じみた雑念が次々に現れ、心の深い部分が暗闇に押しつぶされそうな感覚が続きました。

 それで、気持ちを少しでも紛らわすために小さな音で音楽をかけることにしました。そのときまで、いわゆる 「ながら勉強」 はしたことがありませんでしたが、この作戦は非常に効果的だとわかりました。単なる気分転換ではなく、むしろ集中力を高めてくれるのです。

 音楽が聞こえると脳の一部が情報処理に使われます。脳の大部分は翻訳に使っていますから、そこに情報処理作業が加わると、余分な雑念が湧く余地がなくなって、真っ直ぐに集中できるようになるのです。

 同時通訳をしながら編み物をするのも、おそらくは集中力を高めるのが目的だと思います。編み物は、作業自体は機械的と言ってよいほど単純です。慣れていれば手が自然に動く感覚なのではないでしょうか。

 それでも手の動きを制御したり、編む範囲を判断したりするために、脳の一部が使われます。その結果、同時通訳+編み物で脳の処理能力がいっぱいになり、雑念が湧く余地がなくなるのだと思われます。
      
 人間の脳は複雑ですから、意志だけで集中を持続することはできません。でも、あえて単純作業の負荷を与えることで、脳の余力を削ぐことができるのです。そのためには各自に合った単純作業を選ばなければならないのは言うまでもありません。