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直感的にわかるということ


こんにちは。キーウィです。

 使っていた携帯電話の設定画面の隅に、「セキュア」 という欄がありました。何だろう、と思いましたが、ここを操作する必要がなかったので気に留めることもありませんでした。

 それから3年ほどが過ぎ、ある日突然、セキュア=secure なんだ! と、ひらめいたのです。3年ですよ、3年。しかも、仮にも英語の仕事をしている人間が、それまで 「セキュア」 を見てピンと来なかったのです。考えてみれば不思議な事件ですが、この背景には、さまざまな言語学的示唆があると思います。
             
 国立国語研究所が、新しく外国から入ってきた言葉を、誰にでもわかるように日本語らしい言葉に言い換えるための検討を進めています。例えば、イニシアティブを 「主導ないし発議」、ステレオタイプを 「紋切り型」、という具合です。

 同研究所が国民に対する外来語理解度調査を繰り返したところ、高齢者に限らず、意外に多くの国民がカタカナにした外来語を十分理解できていないことがわかったからです(
外来語言い換え提案第1回)。

 特に高齢者や、これまで英語に触れてこなかった人は、例えば「アクセス」 と言われても意味がわからないかもしれません。でも、若い世代や英語を学んだ人なら 「アクセス」 を見てすんなり理解できるか? となると、そうではないと思うんですね。

 もちろん、意味は分かるでしょう。しかし、ほんの 0.1秒、いや 0.01秒か、脳に負荷がかかるような気がしませんか。でも、これが 「行き方」 とか 「地図」 となっていたら、これはもう、直感的にわかります。

 だからオンラインショップ開業の指南書などには、「ホームページでは格好いい言葉は避けましょう」 と、よく書いてあります。アクセスとか、about us とか、キッズとかいう表現は、一見おしゃれだけれども、見た人の理解が一瞬遅れて、素通りされてしまうことがある。さらには、そのホームページ全体に対する親近感も、微妙ではあるけれども違ってくるのだそうです。

 売り上げだけではありません。直感的にわかるかどうかが生死を分けることだってありえます。先日、デパートに行ったときに気付いたのですが、出入り口のドアに、「PUSH」 「PULL」 と書いてあるのです。両方とも PU まで一緒です。
      
 仮に火災で避難するとなって気持ちが動転していたら、英語が分かる人であっても思いきり間違えそうですね。これも、「押」 「引」 という字を、せめて併記しておくべきではないかと思います。

 この直感的にわかるかどうかという点が、表音文字である英語やカタカナと、表意文字である漢字の違いです。続きは下の関連記事 「日本語は書く文化」をご覧ください。