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本を書く医師 Top使う側と使われる側 ~登録翻訳者に疲れたら~
                

使う側と使われる側 ~登録翻訳者に疲れたら~



こんにちは。キーウィです。

 複数の翻訳会社に登録してばりばり仕事をしている知人が、ため息交じりに言いました。「今朝も4時に起きて納品したんですよ。単価なんて絶対上がらないから、量をこなすしかないでしょう? こんな生活、いつまでも続けられないだろうし、どんなにがんばったって、翻訳会社の手柄になるだけなんて、ねえ?」

 登録翻訳者はすり減るだけで何も残らない、実績にならない気がするというのです。会社勤めの人の中にこういうことを感じる人があるかもしれませんが、フリーランスの翻訳者も、翻訳会社の下請けで働くとなると置かれる立場は同じです。
             
 翻訳会社は仕事を受注すると翻訳者を選んで仕事をさせ、先方から受け取った翻訳料から自分の取り分を差し引いて翻訳者に渡します。良くて半分半分です。翻訳者が必死で仕事をしている間に翻訳会社がするのは依頼者とのメールのやり取りだけ。そんなふうに見えなくもありません。

 翻訳会社の業態は、現代社会で一番儲かるビジネスモデル、すなわち人材派遣業の一種です。悪い言い方をするなら、人を使って上前をはねる仕事。翻訳会社から見れば翻訳者はお金もうけのための駒に過ぎず、代わりなんていくらでもいると思ってる、とは知人の弁。

 でも翻訳会社にしたら、登録翻訳者が仕事をできるのはこっちが仕事を見つけてくるからだという気持ちでしょう。また依頼者が翻訳会社に業務を発注するのは、見知らぬ個人に依頼するより信頼できると思うからです。非常に有能で指名が来るほどの登録翻訳者であっても例外ではありません。

 それに考えようによっては、余計なことは全部翻訳会社がやってくれるので翻訳者は翻訳作業だけに打ち込めます。次々に仕事をこなせば経験にはなりますし、仕事の出来栄えについてコメントしてくれるような翻訳会社なら勉強になるでしょう。

 それでも知人のように感じてしまうのなら、使われる側から使う側に回ることを検討する時期がきたのかもしれません。元翻訳者が他の翻訳者を集めて翻訳会社を起こしたという話はときどき耳にします。私、キーウィにすら、「私をキーウィ事務所で雇ってください」 という就活メールがときどき来るので、その気になればできそうです。
       
 「キーウィさんはそうしないの?」 私がこれをしないのは、人に使われるのも、人を使うのも好きじゃないから。それで自分で自分を使う個人事務所を作りました。現在は翻訳会社には登録せず、翻訳の仕事も兼業です。

 昔は洋の東西を問わず、科学研究などの学問や、芸術、文学などの文化の担い手は貴族や富裕層の子弟でした。翻訳もそう。こういう仕事はお金にならないので、生活がかかっている一般庶民は長く続けられなかったからです。

 時代は変わりましたが、翻訳は今でも労働あたりの収入が決してよいとは言えません。でも兼業なら、時間管理さえうまくできれば生活の心配をせずに質の高い訳出だけに集中できます。「そうですよね。でも、目の前の仕事に追われて、先のことを考える暇もないんです」と知人。

 もし、今のやり方に不安や不満があるなら、仕事を減らしてでも時間を作り、他のやり方を模索するしかないと思います。まずはインターネットで情報の収集から。