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本を書く医師 Top医学翻訳者、少しだけ被災地支援する
                

医学翻訳者、少しだけ被災地支援する


こんにちは。キーウィです。


 岩手県の三陸海岸沿いを走る三陸鉄道 (さんりくてつどう)。東日本大震災に伴う津波で線路と駅舎の大部分を失いましたが、地震発生からわずか5日後に一部地域で運行を再開し、被災者を勇気づけました。

 この三陸鉄道支援の一環として、寄付をすると支援者の名前を刻んだ金属製のプレートを線路の枕木に設置してもらえる 「枕木に名前を残そう!プログラム」 が震災後に実施され、当キーウィ通訳翻訳事務所もささやかながら協力いたしました。

 その後、三陸鉄道は徐々に運行距離を延ばし、2014年4月6日、ついに全線で運転を再開しました。喜んでいたところへ、先日、同社から御礼の手紙が届きました。釜石駅の少し南にある唐丹(とうに)駅近くの線路の枕木に写真のようなプレートを取り付けてくださったのです。
        

 下は被災直後の様子(左)と、プレートを設置した新しい線路(右)
              

 しかしこの手紙には復興の厳しい現実も書かれていました。
「…残念ながら被災地の復興は思うように進んでおりません。三陸鉄道の駅前には荒地のままのところが少なくありません。今後も厳しい経営状況が続きます。しかしながら、私たちは、この全線運行再開が被災地の復興に希望を与えると信じております。」

 東日本大震災から3年半、被災地の復興は少しずつ進んでいるものの、より深い問題が明るみに出てきています。三陸鉄道が走る沿岸部の地域はもともと深刻な過疎化と産業の衰退に苦しんでいました。三陸鉄道自体も1994年以来赤字経営が続き、運営資金が底をつきそうになって経営改善に取り掛かった矢先の災害でした。

 私自身も、震災前に釜石の北にある宮古周辺を旅行したことがあり、浄土ヶ浜の白砂と青い海、少し先にある龍泉洞という鍾乳洞の青く輝く地底湖のこの世のものと思えない美しさに感銘を受けたものです。ただ、やはり、非常に活気のある地域という印象は受けませんでした。

 今も仮設住宅に暮らす被災者がいると報じられていますが、実は公営住宅は既にできているのに被災者の転居が進んでいないのです。原因の1つが経済的な問題で、仮設住宅から公営住宅に移ると家賃を払わなくてはならないために、収入の道を絶たれた被災者は自立したくてもできません。産業を立て直す必要があり、それも震災以前の状態に戻すだけではだめです。
     
 人件費の安い途上国に地域全体として対抗するには、打撃を受けた水産業や農業など一次産業の近代化と合理化が不可欠ですし、各種メーカーの工場を誘致できるよう交通インフラを整備して進出しやすい制度を整えるのも急務です。魅力的な産業が集積すれば投資も増えて好循環ができていくはずです。

 これまで過疎の厳しい条件の中で天然資源や水源を守り、食料生産を担い、日本の文化を受け継いでこられた方々にとって、従来のやり方を根本的に変えるのは容易ではないでしょう。それでも30年後、50年後に今以上に魅力ある地域にするには、ある程度強い権限を持つ公的機関が中央集権的に施策を進めるしかないかもしれません。

 次に三陸を訪れる時に、見違えるほど生き生きした町の中を走り抜ける列車が見られたらどんなに素晴らしいでしょうか。