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本を書く医師 Top近代英米文学から見えるもの
                

近代英米文学から見えるもの


こんにちは。キーウィです。


 もう5年ほど、オーディオブックを無料でダウンロードして毎晩1時間程度聴いています。版権が切れた昔の作品ばかりですから、時代でいうと16世紀終わりのシェイクスピアから20世紀前半のターザンシリーズで有名なエドガー・ライス・バロウズぐらいまで。英米の作品を中心に、フランスやドイツ、古代ギリシャやローマで書かれた作品の英訳もあります。

 この話をすると、「昔の英語は今の英語と違うから難しいんじゃない?」 と聞かれることがあります。ご心配なく。難しくありません。近代英語 (Modern English) の礎はシェイクスピア (1564~1616) と欽定訳聖書 (1611) が築いたとされており、この時期以降の英語は現代英語と大きくは違わないのです。
              
 確かに、現代では古語または文語とされる単語、例えば二人称単数のthou, thy, theeや、現在のhere and thereに相当するhither and thither、そして同じく古典的ないし文学的な表現とされるI know not.などの言い回しが出てきますが、少し慣れれば十分理解できます。これらの言い方は20世紀初頭くらいの作品でも普通に使われ、現代でも状況や舞台設定に応じて効果的に用いられています。

 この他に目立つのは、特に上流階級の会話にフランス語の単語がよく出てくるということでしょうか。「ブードワー (婦人の寝室)」 から出てきて 「オ ルヴォワール (さようなら)」 とあいさつする、などなど。きっかけは1066年に英国を征服したノルマン人によるフランス語の導入で、その後英語の地位が高まってからも、19世紀ないし20世紀前半くらいまではフランス語が欧州の知識人階級の共通語だったからです。

 そしてお決まりなのが道徳性。20世紀初めくらいまでの作品には必ず非常に敬虔な人物が登場し、ロマンス、アクション、SFなどのエンターテイメント系の作品にもストーリーとは直接関係のないお説教が盛り込まれています。これは昔の人が今より信心深かったからだけでなく、おそらく当時は大衆文学が国民を堕落させるという批判があり、これをかわす狙いもあったのかなと思います。

 時代とともに、国際情勢に合わせて欧州の目線が変わるのも面白いところです。登場人物の旅行先が欧州からインド、米国やオーストラリアに広がり、20世紀に入るとアフリカや南米へ。19世紀半ばからは米国が存在感を増して、知的で先進的な人物はたいてい米国滞在経験があったり、米国人そのものだったりします。この米国好きは特にフランスの作品に多い印象です。
    
 これに遅れて日本も国際社会に登場してきます。『ガリヴァー旅行記』 (1726) で主人公が日本を訪問するのは有名ですが、19世紀ともなると上流階級の屋敷にはたいてい高価な漆塗りの製品があり、明治7年 (1874) に出版されたジュール・ヴェルヌの 『神秘の島』 には、「いや、あの旗は日本の商船じゃない」 というセリフが出てきます。中国 (当時は清) の影が意外に薄いのも特徴で、旅行者は日本に行くために広州で船を乗り換えます。

 ここまで読んできて、本当かな?と思ったら、ぜひご自分でも聞いてみてください。オーディオブックが初めてであれば、始めのうちは日本語で読んだことのある物語を選ぶと楽しめます。
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