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本を書く医師 Top翻訳者が金の卵を産み続けるには
                

翻訳者が金の卵を産み続けるには


こんにちは。キーウィです。

 金の卵を産むガチョウの話はご存知でしょう。もとはイソップの寓話で、英語では
 the goose that lays the golden egg(s)
 と言います。

 毎日金の卵を一つずつ生むガチョウを飼っていた男がガチョウのお腹には金の卵がたくさん入っていると思い込み、ガチョウを殺してお腹の中をのぞきました。しかし何も入っておらず、その上ガチョウが死んでしまったので金の卵も手に入らなくなったという話です。

 ここから、目先の利益に目がくらんで将来にわたって得られたはずの利益をなくしてしまうことを表現するのによく使われます。
                
 The small mountain village suddenly became famous for the miraculously effective medical herb. Noticing it is a lucrative business, the people enthusiastically and thoroughly sought and picked the herb in the forest, even pulled out by the roots, but it was just killing the goose that lays the golden eggs.
 「小さな山村は奇跡の薬草の村として突如有名になった。薬草が金になると気付いた村人らは森の中で血眼になって薬草を探し回り、根こそぎ引き抜きすらしたが、これは金の卵を産むガチョウを殺すことでしかなかった」

 さてこの寓話、ガチョウ goose ではなくメンドリ hen で覚えていた人もがいるのではないでしょうか。実はフランス語、イタリア語、デンマーク語など英語以外の言語では 「メンドリ」 と表現しており、英語でも hen となっていることがあります。

 イソップ寓話の原典は残っておらず、もとは古代ギリシャ語やラテン語で書かれていたものが欧州各地で読み継がれ、これが古い英語を経て現代英語に翻訳されました。この過程でメンドリがガチョウに変わったようです。

 タイトルの 「翻訳者が金の卵を産み続けるには」、この問いの答えは翻訳者でそれぞれでしょうが、私は 「仕事の主導権を握ること」 だと思っています。言い換えると、その仕事を、その納期、その単価で受けるかどうかの決定権を手放さないということです。

 例えば先日こんなことがありました。以前大きなボリュームの仕事を依頼されたときに、少々無理して迅速に納品したことのあるクライアントから一年ぶりに連絡があり、関連する領域の文献を翻訳して欲しいとのお話を頂きました。
     
 前回の翻訳が幸い好評だったようなのですが、今回はその1.5倍近い量を前回の半分の期間で納品してくれとおっしゃるのです。

 しかしこれでは同じ質の卵が産めるはずがないどころか、ガチョウが死んでしまいかねません。ですから申し訳ないのですが、前回と同じ速度でしかお受けできませんとお伝えしました。

 当のクライアントが私を金の卵を産むガチョウと見てくださっているのかはわかりませんが、私自身にとって、私はこの世に一羽しかいないガチョウです。このガチョウがこれからも卵を産めるように、健康と精神衛生に気を使い、質の維持に十分に配慮してやれるのは自分しかいません。その責任を負っているのも自分自身なのです。