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本を書く医師 Top英語の yellow、日本語の黄色
                

英語の yellow、日本語の黄色


こんにちは。キーウィです。

 唇は英語でなんと言いますか? えっ、lip じゃないの?
そのとおり。では鼻の下の部分は何と言いますか? 分からなかった人は下の文を見てください。

 The doctor had hair on his upper lip.
 「先生は上唇にひげを生やしていました」

 ちょっと、これ、どういうこと?!
              
 ご心配なく。少し男っぽいだけで別におかしな先生ではありません。これは、「先生は口ひげをたくわえていました」 という意味です。口ひげは mustache ですが、hair で代用することもよくあります。

 ここで重要なのは、英語の lip がピンク色の唇だけでなく鼻の下を含めた広い範囲を指すということです。

 このブログでも、翻訳というのは日本語と英語を単語レベルで置き換えて並べ替えるだけの作業ではありません、とよく書いていますが、英語と日本語は言葉が成立した過程が違うために、単語が一対一で対応しないことが珍しくないのです。

 同じことは色の表現にも当てはまり、英語の yellow は黄色とオレンジ色の中間ぐらいの色になります。日本の黄色にあたる色は lemon yellow なので、色を厳密に表現する必要がある場合は、翻訳する際に注意が必要です。

 また英国と米国でも表現の仕方が違います。例えば英国では、信号機の黄色を amber、琥珀色と表現します。日本で琥珀色と言うと、濃い黄色に金色と茶色が混じった、ウィスキーのような色です。もちろん英国の黄色信号がこんな色をしているわけではなく、色の呼び方が違うのです。
    
 その一方で、日本では緑色のものを青と表現することがありますね。青信号と言っても実際は青ではなく、むしろ緑でしょう? 青草とか青虫、青葉なんかもそうですね。この辺りは日本の古い感性の名残りです。

 黄色に話を戻すと、以前読んだ原書に “The Mystery of the Yellow Room” (黄色い部屋の秘密)という作品がありました。内装が黄色で統一された密室状態の部屋で殺人未遂事件が起きるというストーリーで、世界初の推理小説と言われる古典です。

 原書の表紙には、舞台となる黄色い部屋が描かれていますが、日本の感覚で言うと茶色がかった山吹色です。英語の yellow には 「嫉妬、卑怯、臆病」 と言う意味もあり、これがこの事件に関係しているのですが、種明かしはやめておきましょう。表紙の絵はこちらからご覧ください。(少しショッキングです)