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本を書く医師 Top卵を全部同じかごに入れるな
                

卵を全部同じかごに入れるな


こんにちは。キーウィです。

 アメリカ東海岸にある国際的な医薬関連企業で研究していた知人がリストラされてしまいました。その研究所には1000人以上の研究者がいるのですが、ある日突然、「この研究所は閉鎖することになりました。みなさん全員を解雇します」 と告げられたそうなのです。

 研究者らが驚き、落ち込んでいると、担当者が 「もちろん当社は十分なサポートを提供いたします」 と言って紙を配り始めました。見るとそれは最寄りの心理カウンセラーへの紹介状だったのです。つまり早くショックから立ち直れるようサポートします、というわけです。
            
 後日、知人がカウンセラーの元を訪れたところ、職探しの間に読むようにと20冊ほどの本を紹介されたそうです。何冊か読んだら「面白い本ばかりだった」 そうで、私に本のタイトルの一覧を送ってくれました。

 私に紹介してる場合じゃないだろうと思いますが、ざっと見たところ企業が求めるリーダーシップやチームワークなどに関するものが多く、そのうち一冊は邦訳されていました。

 "Hard Optimism: How to Succeed in a World Where Positive Wins"
 (『楽観脳 最後に笑うオプティミストになるために』

 確かに、こうなったら 「最後に笑うオプティミスト」 を目指すしかないでしょうねえ。

 でも、じっくり考えてみると、私もあまりのんびりしている場合ではないかもしれません。知人の医薬関連企業が研究所を閉鎖するのは研究開発費を削るためです。そしてこれらの医薬関連企業こそが、医学翻訳業界にとって大口の顧客なのです。

 実際、少し前に、登録している翻訳会社の人員体制が急に変わりました。人減らしのように思える動きでした。医学翻訳業界もまた、厳しい状況に立たされているのです。翻訳にこだわらず、仕事の幅を拡げることを考えた方がいいのかもしれません。
         
 The mouse that has but one hole is quickly taken.
「逃げる穴が一つしかないネズミは直ぐに捕まる」

 また、同じような状況でよく使われるのがこちらです。

 Don't put all your eggs in one basket.
 これは 「卵をすべて一つのかごに入れるな」 とか 「全部の卵を一つのかごに入れるな」 と訳してあることが多いようです。資産運用の際のリスク分散の必要性に関してよく使う表現です。

 キーウィ式としては、「卵を全部同じかごに入れるな」 と訳出したいと思います。one basket となっていますが、“one” に引きずられて “一つ” とするより、こちらの方が分かりやすい気がします。また、all は “全部の” と形容詞的に訳すよりも、“全部” と副詞的に訳した方がおさまりがいいように思うからです。