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本を書く医師 Topそんな発音では通じませんか
                

そんな発音では通じませんか


こんにちは。キーウィです。

 特技と言うほどのことではないのですが、人が話している標準語を聞いて、かすかなアクセントの違いからその人の出身地がだいたいわかります。訓練を受けているはずのアナウンサーであっても、ふとした瞬間に訛りが感じられることがあります。

 日本には標準語と方言のそれぞれに普段使いの口語と敬語表現があり、さらに書き言葉もあって、必要に応じて柔軟に使い分けてきました。
            
 現代では、地方で暮らす人の大部分が標準語と方言のバイリンガルになっていると言われています。言語学者の中には、この傾向が続くと、いずれ方言が消えてしまうのではないかと危惧する人もいるようです。

 確かに現代の方言は、文の骨組みは標準語と大部分共通で、方言らしい変異が認められるのは名詞や形容詞、動詞などの内容語や語尾の変化だけという場合が多く、かなり穏やかな形になっています。しかしそうであっても、標準語の普及により方言が消えてしまい、国民こぞって標準語を話す未来というのは想像できません。

 実際、一つの都市くらいの小さな国土でない限り、方言のない国というのは存在せず、マスメディアが発達している米国でも、地域ごとの訛りがなくなって言葉が均一化しているなどという事実はありません。それは言葉が生活習慣や文化、歴史と固く結びついているからです。

 さて、日本人が英語を話すと日本語訛りの英語になると言われています。この日本語訛りの英語は、「出身地の訛りのある標準語」 と本質的に同じもののはずですが、訛りのある標準語を気にする人はほとんどいないのに、「日本語訛りの英語」 となると、とんでもなく悪いことのように批判し始める人がいます。

 「そんな発音では通じません」 という脅し文句が飛び交い、書店には発音矯正に関する書籍があふれ、r の発音練習に明け暮れる人が続出するという不思議な現象が発生します。
      
 しかし先に述べたように、生まれた時から標準語に接してきた現代の日本人ですら出身地の訛りが混じるのです。米国人だって、州の中でも訛りがあります。

 これがノンネイティブとなれば訛ってあたり前です。インド訛りやフランス訛りの英語のユニークさは有名ですが、当人たちはお構いなしにしゃべりまくり、実際にネイティブとの間で十分コミュニケーションできています。

 ちょっとやそっとのことでは 「通じない」 なんてことはありません。日本語訛りでも全く問題ないのです。もし本当に通じなかったら、発音やアクセント以外の原因、たとえば文法や構文、語彙力に問題がないか考えてください。